十勝バス1981(昭和56)年11月ダイヤ改正のこと

今回は十勝バスの81年11月改正について書きます。このダイヤ改正は十勝バス史上もっとも白紙改正度が高いと言っても過言ではないほどの改正でした。どれくらい白紙改正度が高かったか要点をあげてみましょう。

 

 

 

【1】東・北営業所を新設の帯広営業所へ統合

帯広駅から5分ほどの東営業所と道東バスから引き継いだ北営業所はどちらも市街地の東部にありましたが市内西端の工業団地内に移転しました。たかが営業所の移転ですがざっくりとした書き方をすれば十勝バスとして東に片寄っていた比重が大きく西に動いたと言えます。既に市街地西部の柏林台団地へは高頻度運行を行っていましたが更に西の西10号、西帯広、14号団地も便数としてそれまでの近郊線から市内線入りを果たしていきます。またその後の西帯広ニュータウン造成も見据えた移転ならばなかなか大したものです。

 

【2】帯広駅前始終点から帯広営業所始終点の時代へ

それまでの路線は市街地の端から端を通る循環線、中央線、緑ヶ丘病院線や朝のごく一部の便を除き基本的に帯広駅前が始終点でした。それをこの改正で二つの路線を一つにまとめるような統合を行い帯広駅前を通る路線はラッシュ時の増発便や観光路線を除き必ず以前の他路線へ直通するようになりました。この改正前だと帯広駅前での乗り換えが必須だったのが改正後は乗り換えなしで行けるようになった人も増えたと思われます。その一方で市内均一運賃の区間のみを走る路線はラッシュ時の増便を除いてなくなりました。

 

【3】系統番号の整理

それまでバラバラに振られていた系統番号が方面別になりました。今でもそれほど変わらず使われています。当時は次のような意味をもって振られました。

10〜20番台 営業所〜白樺通〜競馬場〜帯広駅〜大通〜電信通〜札内橋〜東部各町へ至る路線と池田町内や茂岩営業所支線

30番台 営業所〜帯広駅〜西部の各町へ至る路線と芽室営業所支線

40番〜50番台 営業所〜国道西20条〜大谷高〜帯広駅〜西2条〜北部の各町

60番台 営業所〜玄武住宅〜西5条〜市役所〜帯広駅〜大通〜南部の各町

70番台 営業所〜玄武住宅〜西2条1丁目〜帯広駅〜市役所〜四中前〜市内南部

80番台 足寄営業所支線用

 

【4】帯広駅前自社乗り場の整理

それまでも方面別にある程度整理されてはいましたが帯広の東隣の札内へ行くのに駅前広場1番のりばとはとや前3番のりばだったり北の木野や音更へ行くのも十勝バス前(本社前)とはとや前に分かれていたのが改正後は完全に方面別に統合されました。この時の整理は帯広駅前バスタッチや帯広駅バスターミナルと駅前の乗り場が移り変わった今もなお活かされています。

この時は以下のように整理されました。

 

(0)十勝バス前(本社前)

西2条1丁目を経由し国道38号で市内西部、241号で十勝北部へ向かう便。

30・32・33系統 十勝バス前〜西2条通〜玄武住宅〜西帯広〜芽室方面

40〜53系統 十勝バス前〜西2条通〜木野農協方面(特急阿寒湖行きも)

70〜71番系統 十勝バス前〜西2条通〜玄武住宅〜帯広営業所

72〜78系統 十勝バス前〜西1条9丁目〜東4条9丁目〜柏葉高〜西2条1丁目〜玄武住宅〜帯広営業所

定期観光バス

(1)1番のりば(駅前広場)

十勝東部方面全便と西2条を通らず国道38号線で市内西部へ向かう便。

10〜20系統 1番のりば〜西1条9丁目〜大通8丁目〜電信通〜札内橋方面

1系統 1番のりば〜西3条通〜玄武住宅〜国道西20条〜魚菜市場〜帯広営業所

60〜68系統 1番のりば〜市役所〜西5条通〜玄武住宅〜帯広営業所

(2)2番のりば(本社裏)

大通を通る市内南部、十勝南部へ向かう全便。

2系統 2番のりば〜大通27丁目〜川西1号〜北高前

60〜68系統 2番のりば〜大通27丁目〜川西1号方面

空港連絡バス

(3)3番のりば(はとや前)

西3条9丁目を経由し西20条まで国道38号線を通らずに市内西部、十勝西部へ向かう便。

10、14系統 3番のりば〜競馬場〜白樺学園〜北町〜14号団地〜帯広営業所

15系統 3番のりば〜競馬場〜白樺学園〜南町2丁目〜14号団地〜帯広営業所

11〜13、16〜19系統 3番のりば〜競馬場〜白樺学園〜南町2丁目〜柳橋〜帯広営業所

20系統 3番のりば〜競馬場〜白樺学園〜北町〜西20条1丁目(流通団地)〜帯広営業所

31系統(往路) 3番のりば〜競馬場〜白樺学園〜南町2丁目〜芽室温泉〜芽室

30、32〜33系統 3番のりば〜合同庁舎〜新町〜北町〜西19条2丁目〜西10号団地〜14号団地〜帯広営業所

31系統(復路) 3番のりば〜合同庁舎〜競馬場〜白樺学園〜南町2丁目〜柳橋〜帯広営業所

40〜51系統 3番のりば〜市役所〜西5条13丁目〜西15条13丁目〜大谷高〜国道西20条〜帯広営業所

(4)富士銀前 

この改正で十勝バス前から市立病院へ行く便が全て富士銀前に移動

2系統 富士銀前〜電信通〜市立病院〜柏葉高〜玄武住宅〜魚菜市場〜帯広営業所

3系統 富士銀前〜西1条9丁目〜六中前〜水光園〜市立病院

70、71系統 富士銀前〜市役所〜四中前〜法光寺〜南7線〜日甜住宅〜大空団地

72系統 富士銀前〜市役所〜グリーンパーク〜四中前〜南8線〜北高前〜畜大北門〜大空団地

73〜74系統 富士銀前〜市役所〜西6条〜緑ケ丘〜南9線〜大空団地〜刑務所

75系統 富士銀前〜市役所〜四中前〜西8条29丁目〜南7線〜日甜住宅

76〜78系統 富士銀前〜市役所〜四中前〜南8線〜日甜住宅〜工業高〜農高〜畜大農場方面

 

(5)かじのビル前

1系統 かじのビル〜協会病院〜光南校〜四中前〜南8線〜北高前

3系統 かじのビル〜大通16丁目〜記念碑前〜西12条16丁目〜緑ヶ丘小学校〜南商〜西20条5丁目〜国道西20条〜帯広営業所

10〜20系統 白樺通〜西3条9丁目〜かじのビル〜駅前1番のりば〜西1条9丁目

30、32〜33、40〜51、70〜71系統 西2条1丁目〜かじのビル〜駅前3番のりば/富士銀前

 

【5】前乗り先払い制の全廃

ラッシュ時の増便を除き市内均一運賃区間で完結する路線がなくなったので一般路線で運賃の支払いは乗車時に整理券を取る降車時後払いのみになりました。その後学校前のみ降車可能な登校便ができると前払い制度は復活します。今の東13条発三条高校行きなどです。

 

以上の変更が11月1日に一気に行われました。この日は日曜ですので混乱が起こる可能性は低かったでしょうが作業はとても大変だったことでしょう。バス停の時刻表、車両の方向幕、運賃表の付け替え。前中2ドア車で運賃先払い路線にのみ使っていた均一ワンマン車への整理券機の取り付け。ちなみにこの改正時に前ドアの郊外線車運賃表が幕式からバス停名表示のない60区デジタル表示に、市内・近郊線の中ドア車は幕式14区から30区になりました。それまで社内にあった郊外線・近郊線・市内線・均一線という区分の時代から均一線がなくなり市内線と近郊線の区分も曖昧になりつつある今の十勝バスのダイヤへと至る第一歩が始まったのがこの改正でした。